Classici giapponesi con furigana
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あめあがる
雨あがる
山本 周五郎
Leggi 雨あがる (あめあがる) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.794 caratteri · 43 schermate
「夕食を待っていて呉れるだろうと思ったんだけれど、あまり熱心にすすめられるのでついおそくなってね、ええ」
彼は着替えをするあいだも、うきうきと話し続けた。
「――もっと早く、ほんのもう一刻もすれば帰れると思っていたんだが、たいへん御馳走になったりして、それに話もあったものですからねえ」
脱いだ物を片づけていたおたよは、着物の袂から紙包をみつけて、不審そうに良人を見た。その重みと手触りで、金だということがわかったからである。
「ああ忘れていた、すっかり忘れていましたよ、それは青山さんから貰いましてね、御前へあがるのに必要な支度をするようにって」
「御前と仰しゃいますと」おたよは不安そうに訊き返した、「――それにいま何誰かとも仰しゃいましたけれど、わたくしにはなにがなにやらわかりませんわ」
「そうそう、そうですとも、少し酔ってるんですよ、ええ、済まないが水を一杯下さい」
伊兵衛は水を飲みながら話しだした。
こんどは調子が渋くなり、言葉づかいもずっとおちついてきた。夫婦のあいだではもう長いこと「仕官」の話は禁物のようになっていた。あまりにたび重なる失敗で、お互いが希望をもつことを避け、できるだけその問題に触れないようにしていたのである。