Classici giapponesi con furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Leggi 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.414 caratteri · 289 schermate
「照ちゃんか。日比谷だっていうから行ったんだよ。」
「これから行く処なの。」とお照は男の方へ駈寄って歩きながら此方を見返り、「お父さんそれじゃさよなら、もういいわ。さよなら、おかみさんによろしく。」
取残された兼太郎は呆気に取られて、寒月の光に若い男女が互に手を取り肩を摺れ合して行くその後姿と地に曳くその影とを見送った。
見送っている中に兼太郎はふと何の聯絡もなく、柳橋の沢次を他の男に取られた時の事を思出した。沢次と他の男とが寄添いながら柳橋を渡って行く後姿を月の夜に見送ってもういけないと諦をつけた時の事を思出した。思出してから兼太郎はどうして今時分そんな事を思出したのだろうとその理由を考えようとした。
お照と沢次とは同じものではない。同じものであるべきはずがない。お照は不届至極な親爺の量見違いから置去りにされて唯一人世の中へほうり出された娘である。沢次は家倉はおろか女房児までもふり捨てて打込んだ自分をば無造作に突き出してしまった女である。事情も人間も全然ちがっている。しかし夜もふけ渡った町の角に自分は唯一人取残されて月の光に二人連を見送る淋しい心持だけはどうやら似ているといえば言われない事もない。