Classici giapponesi con furigana
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ゆきたたき
雪たたき
幸田 露伴
Leggi 雪たたき (ゆきたたき) di 幸田 露伴 (こうだろはん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.132 caratteri · 56 schermate
「…………」
「…………」
双方とも暫時言葉は無かった。屈託無げにはしているが福々爺の方は法体同様の大きな艶々した前兀頭の中で何か考えているのだろう、にこやかには繕っているが、其眼はジッと女の下げている頭を射透すように見守っている。女は自分の申出たことに何の手答のある言葉も無いのに堪えかねたか、やがて少し頭を擡げた。燐みを乞う切ない眼の潤み、若い女の心の張った時の常の血の上った頬の紅色、誰が見てもいじらしいものであった。
「どうぞ、然様いう訳でございますれば、……の御帰りになりまする前までに、こなた様の御力を以て其品を御取返し下さいまするよう。」
と復一度、心から頭を下げた。そして、
「御帰りの近々に逼って居りますことは、こなた様にも御存知の通り。御帰りになりますれば、日頃御重愛の品、御手ならしの品とて、しばらく御もてあそび無かった後ゆえ、直にも御心のそれへ行くは必定、其時其御秘蔵が見えぬとあっては、御方様の御申訳の無いはもとより、ひいては何の様なことが起ろうも知れませぬ。御方様のきつい御心配も並一通りではござりませぬ。それ故に、御方様の、たっての御願い、生命にもかかることと思召して、どうぞ吾が手に戻るようの御計らいをと、……」