Classici giapponesi con furigana
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ゆきとどろ
雪と泥
山本 周五郎
Leggi 雪と泥 (ゆきとどろ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.993 caratteri · 40 schermate
その財布は印伝革で、長さ一尺五寸ばかりあり、すっかり手擦れて古くなっている。それはいつも小出しの銭を入れて、横に四つ折ってあるのだが、それをふところから出し、片手で口のところを持つと、折ってあるのがぱたぱたと長く垂れる。そうして、片手を財布の中へ入れながら、(すぐには銭を出さないで)暫く文句を云うのであった。
――また下駄か、このあいだ買ったばかりではないか、あれはもう穿けないのか。
台所の費用も限度まで切詰めてあり、物価の高低に関係なく、十年一日のように定っていたし、ときにしばしば芥箱の検査をした。野菜の切り屑など、むだに捨てはしないかというのである。魚類などが食膳にのぼるのは、年に幾たびと数えるくらいのもので、それもたいてい自分で釣って来た。釣だけは唯一つの道楽で、といっても金の掛る釣ではなく、竿は一文竿だし、餌は自分で掘って、舟などは決して雇わず、ただ岸を釣り廻るだけである。そうして獲物もすぐには喰べない、白焼にして干して置き、喰べるときにも頭や骨は捨てないのである。頭や骨はもういちど焼き、粉にして煮出しに使ったり、そのまま飯に掛けて喰べたりした。