Classici giapponesi con furigana
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ゆきのシベリア
雪のシベリア
黒島 伝治
Leggi 雪のシベリア (ゆきのシベリア) di 黒島 伝治 (くろしまでんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9276 caratteri · 19 schermate
誰だって、自分の下に使うのに、おとなしい羊のような人間を置いときたいのはあたりまえじゃないか――だが、一年や二年、シベリアにいたっていなくったって、長い一生から見りゃ同じこった。ま、気をつけてやれい。」
それをきいていた吉田も、小村も元気がなかった。
同年兵達は、既に内地へ帰ってから、何をするか、入営前にいた娘は今頃どうしているだろう? 誰れが出迎えに来ているだろう? ついさき頃まで熱心に通っていた女郎のことなど、けろりと忘れてしまって、そんなことを頻りに話していた。
「俺れゃ、家へ帰ったら、早速、嚊を貰うんだ。」シベリアへ志願をして来た福田も、今は内地へ帰るのを急いでいた。
「露西亜語なんか分らなくったっていゝや、――親爺のあとを継いで行きゃ、食いっぱぐれはないんだ、いつなんどきパルチザンにやられるかも知れないシベリアなんぞ、もうあき/\しちゃった。」
二人だけは帰って行く者の仲間から除外されて、待合室の隅の方で小さくなっていた。二人は、もと/\よく気が合ってる同志ではなかった。小村は内気で、他人から云われたことは、きっとするが、物事を積極的にやって行くたちではなかった。