Classici giapponesi con furigana
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ゆきのうえのしも
雪の上の霜
山本 周五郎
Leggi 雪の上の霜 (ゆきのうえのしも) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.586 caratteri · 50 schermate
「あなたがそんなに仰しゃるのは、本当はやはりその千草という方となにかあったからでございましょう、わたくしにはよく……」
おたよは言葉を切った。伊兵衛が手で制止したからである。伊兵衛は表のほうを緊張した眼で注視した。
往来をこっちへ、高ごえで話しながら、来る者があった。
「なにしろおまえさん、胆石病とくるとひっ傾がった家が地震をくらうようなもんさ、初めは両方の眼の下に茶色のしみができる、こんなふうに、そいつが素人にはちょっとわからない」
こう云いながら、二人づれの旅人が、この茶店へ入って来た。伊兵衛はあっといった。一人はまさしくいつかの客だ、年のころは五十ばかり、よく肥えた、血色のいい、商人ふうの男である。
「わからないうちにそれが、その茶色のしみが黒っぽくなってくる」笠と両掛を置き、腰をおろしながら、「――そうなったらおまえさん、もうまるで、まるで」
「やっぱりそうだ、貴方でしたよ」伊兵衛はこう云いながら、立っていって、にこやかに挨拶した、「どうも聞いたような話だと思ったが、またおめにかかれましたね」
男はこっちを見て、眼をすぼめた。姿が変っているのでわからないらしい。