Classici giapponesi con furigana
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ゆきのよる
雪の夜
小林 多喜二
Leggi 雪の夜 (ゆきのよる) di 小林 多喜二 (こばやしたきじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.967 caratteri · 31 schermate
誰も自分の生活を見廻してみるものがないからだ、と思った。惨めだが、しかしあの女たちはちっとも自分のその惨めなことを知っていないのだ。これは恐ろしいことだと思った。彼は何度も雪やぶの中に足をふみ入れた。しかし、同時に彼は自分に対する反省を感じた。ハッキリ何をしなければならないかとかいうことが分っていながら、ちっともきまらない、あやふやな自分が考えられた。どこかで恵子がこの野良犬のようにほっつき廻っている彼を嘲笑っているように思われた。こういう気持の場合恵子のことを思うことだけでも彼はたまらなかった。
前から人が来た。彼とすれちがう時に、ハズミで、どしんと打ち当った。半纒を着た丈の高い労働者だった。彼はちょっと振りかえって見た。男も後を見た。そして「あほう……」と言った。酔っているらしかった。
「ばか野郎※(感嘆符二つ、1-8-75) どこをウロついてるんだい、この穀つぶし※(感嘆符二つ、1-8-75)」
しかしそう言ったか、どうか分らない、そう聞いたように思ったその瞬間、彼はきゅうに自分の身体が軽く、ちょっと飛び上ったように感じた。眼がクラクラッとした。