Classici giapponesi con furigana
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ゆきのやどり
雪の宿り
神西 清
Leggi 雪の宿り (ゆきのやどり) di 神西 清 (じんざいきよし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.995 caratteri · 51 schermate
ゆくゆくは奏覧にも供え、また二条摂政さま(良基)の莵玖波集の後を承けて勅撰の御沙汰も拝したいものと私かに思定めておいでの模様で、いたくこの集のことをお心に掛けてございました。尤もこれは、なまじえせ連歌など弄ぶわたくしの思い過しもございましょう。お文倉には和漢の稀籍群書およそ七百余合、巻かずにして三万五千余巻が納めてありましたとのことで、中には月輪殿(九条兼実)の玉葉八合、光明峯寺殿(同道家)の玉蘂七合などをはじめ、お家累代の御記録の類も数少いことではございませんでした。
そうこう致すうち一月の末には、太閤は宇治の随心院へ奥方様とお二人で御座を移されました。御老体のほどを気づかわれたお子様がたのお勧めに従われたものでございましょう。さあそうなりますと、身に余る大役をお請けした上に、大樹とも頼む太閤はおいでにならず、東の御方様はじめお若い方々のみ残られました桃花坊で、わたくしは茫然と致してしまいました。見渡すところ青侍の中には腕の立ちそうな者はおりませず、夜ふけて風の吹き募ります折りなどは、今にも兵どもの矢たけびが聞えて来はしまいか、どこぞの空が兵火に焼けていはしまいかと落々瞼を合わす暇さえなく、蔀をもたげては闇夜の空をふり仰ぎふり仰ぎ夜を明かしたものでございました。