Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆきのやどり

雪の宿り

神西 清

Leggi 雪の宿り (ゆきのやどり) di 神西 清 (じんざいきよし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.995 caratteri · 51 schermate

Aozora Bunko

……ああ、由玄どの、今あなたは眉をお顰めなされましたな。いえ、よく分っております、美麗だなどと大それた物の言いよう、さぞやお耳に障りましょう。神罰もくだりましょう、仏罰も当りましょう、それもよく心得ております。けれどこの貞阿は実に感じたままをお話しするまででございます。まことに人間の心ほど不思議なものはありませぬ。火をくぐり、血しぶきを見、腐れた屍に胆を冷やし、人間のする鬼畜の業を眼にするうち、度胸もついて参ります、捨鉢な荒びごころも出て参ります、それとともに、今日は人の身、明日はわが上と、日ごと夜ごとに一身の行末を思いわび、或いは儚い夢を空だのみにし、或いは善きにつけ悪しきにつけ瑞祥に胸とどろかせるような、片時の落居のいとまとてない怪しい心のみだれが、いつしかに太い筋綱に縒り合わさって、いやいや吾が身ひとの身なんどは夢幻の池の面にうかぶ束のまの泡沫にしか過ぎぬ、この怖ろしい乱壊転変の相こそ何かしら新しいものの息吹き、すがすがしい朝を前触れる浄めの嵐なのではあるまいかと、わたくしごとの境涯を離れて広々と世を見はるかす健気な覚悟も湧いて参ります。