Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
きりのばんしゃ
霧の蕃社
中村 地平
Leggi 霧の蕃社 (きりのばんしゃ) di 中村 地平 (なかむらちへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.389 caratteri · 57 schermate
晴れた日、西空に聳えている能高の高い峰を人まち顔に仰いでいるテワスの姿を、部落の人たちはよく見かけた。
テワスはいつの間にか内地キモノを脱ぎ、再び青いタアバンを頭にまき、まっ赤な脚絆を脚につけるようになっていた。一時は気がめいる位に暗く思われた兄の家の炬火にも、時がたつにつれて全く馴れきってしまった。しかし、夫近藤は帰ってくるどころか、消息さえ聞えてはこなかった。
間もなくテワスは同じい社中の蕃人に再婚することになった。
畳の上に坐る生活はもう永久にあきらめなければならない。土間にかがんで手づかみの食事をし、跣足のまま床にあがって寝る、そういう野蛮な生き方に再び落ちこまなければならないのである。しかし、再婚の日に入ってからは、彼女はまったく新しい男との生活に満足しきっている風であった。近藤との過去は、楽しかった新婚の頃のことは勿論、悲しかった生別の記憶さえ、既にもう念頭からは全く消え去った風にしか見えない。山の精気を吸いこんで、逞しさをとりもどした体で、林のなかに駈け入り、猪に似た山豚を追いかけまわしたり、嬉々として畑に出、蕎麦の種をまいたりしているのである。