Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きりのばんしゃ

霧の蕃社

中村 地平

Leggi 霧の蕃社 (きりのばんしゃ) di 中村 地平 (なかむらちへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.389 caratteri · 57 schermate

Aozora Bunko

「俺たちだってやろうとさえ思えば……」

その若者たちの心の動きを、じっと静かに見まもっているのは頭目のモーナルーダオであった。社の人の心の動きは、ひとりでにすべて彼の方に都合よく動いてゆくようである。彼ははやる心をおさえつけて、ひたすら時期をまっていた。

秋晴れの午後であった。

モーナルーダオはマヘボ社の親戚ジアスアベバの家に呼ばれていた。その家と同じい社に住むアイシユドウとは、永い間、不和の状態に在った。そのもつれが、両家の結婚によって漸く解けることになった。二重の喜びに張られた祝宴に、彼も連っていたわけである。

酒は快くまわって、モーナはまっ赤な顔をしていた。モーナは上機嫌であった。間もなく酒の酔いを醒ますために彼は危い脚つきで表に出た。丁度、その時であった。明るい表の陽ざしのなかを、分署の吉村巡査が急ぎ脚にとおりかかった。

「こんにちは……」

モーナは素朴な笑顔を浮かべて挨拶した。吉村巡査も愛想よく答えた。

「やあ、いい機嫌だな」

「よって行きなさい」

「きょうは駄目だ。公務の途中だから……」

巡査がそのまま行きすぎよう、とすると、モーナはあとから追いすがるようにして、またすすめた。