Classici giapponesi con furigana
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せいねん
青年
Leggi 青年 (せいねん) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 123.670 caratteri · 246 schermate
己は奥さんの態度に意外な真面目と意外な落着きとを感じた。只例の謎の目のうちに、微かな笑の影がほのめいているだけであった。奥さんがどんな態度で己に対するだろうという、はっきりした想像を画くことは、己には出来なかった。しかし目前の態度が意外だということだけは直ぐに感ぜられた。そして一種の物足らぬような情と、萌芽のような反抗心とが、己の意識の底に起った。己が奥さんを「敵」として視る最初は、この瞬間であったかと思う。
奥さんは人に逢うのを予期してでもいたかと思われるように、束髪の髪の毛一筋乱れていなかった。こん度は己も奥さんの着物をはっきり記憶している。羽織はついぞ見たことのない、黄の勝った緑いろの縮緬であった。綿入はお召縮緬だろう。明るい褐色に、細かい黒い格子があった。帯は銀色に鈍く光る、粗い唐草のような摸様であった。薄桃色の帯揚げが、際立って艶に若々しく見えた。
己は良心の軽い呵責を受けながら、とうとう読んで見ずにしまったラシイヌの一巻を返した。奥さんは見遣りもせず手にも取らずに、「お帰りの時、どれでも外のをお持ちなさいまし」と云った。
前からあったのと同じ桐の火鉢が出る。