Classici giapponesi con furigana
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せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Leggi 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.593 caratteri · 325 schermate
ところが野崎が同じ中学校出身の先輩に去年のノートを借りる手があると、良い智慧を出したので、もう歴史の試験は半分終ったのも同然だと、彼等は松竹座で映画を見た。松竹座を出ると、野崎はノートを借りに行くことになった。未だそこら辺をぶらぶらしていることに未練のある赤井は時間を打ち合せて、野崎と「ヴィクター」で落ち合い、一緒に下宿へ帰ることにし、豹一は一足先に帰り、良い頃を見計って、赤井の下宿で火をおこしながら待つ。そう決めて別れた。
豹一は約束の時間より早く赤井の下宿へ出掛けて、しきりに火鉢へ新聞紙をくべていたが、炭は少しも赤くならなかった。部屋の中がさむざむとして、煙が恥しいぐらい立ちこめた。下宿の人に言って、火種を貰うなど、出来ぬ質だった。新聞紙もくべ尽してしまい、何という俺は不器用な男だと、げっそりした。ふと、煙草の吸口がよいと思い、くべてみると、蝋があるのでよく燃えた。そこをすかさず、しきりに火鉢の中へ顔を突っ込んで吹いていると、漸くおこって来た。ちょっと一時間ほど掛ったのである。が、二人はなかなか帰って来なかった。浮かぬ顔をして火鉢に凭れながら無気力に待っていると、浅ましい気持になった。