Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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せいしゅんのぎゃくせつ

青春の逆説

織田 作之助

Leggi 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.593 caratteri · 325 schermate

Aozora Bunko

「如何してん? 坊ん坊ん」山谷が驚いて豹一の顔を見ると、怖いほど蒼白み、唇に血がにじみ、前歯も少し赤かった。眼がぎらぎら光って、涙をためていた。

誇張して言えば、その時豹一の自尊心は傷ついた。人一倍傷つき易かった。なお、しょんぼりした。辱かしめられたと思い、性的なものへの嫌悪もこのとき種を植えつけられた。持前の敵愾心は自尊心の傷から膿んだ。横眼を使うことが堂に入り、安二郎を見る眼つきが変った。安二郎の背中で拳骨を振り廻した。母は毎晩安二郎の肩をいそいそ揉んだ。

豹一は一里以上もある築港まで歩いて行き、黄昏れる大阪湾を眺めて、夕陽を浴びて港を出て行く汽船にふと郷愁を感じたり、訳もなく海に毒づいたりした。

ある日、港の桟橋で、ヒーヒー泣き声を出したい気持をこらえて、その代り海に向って、

「馬鹿野郎」と、呶鳴った。誰もいないと思ったのが、釣をしていた男がいきなり振り向いて、

「こら、何ぬかす」そして白眼をむいている表情が生意気だと撲られた。泣きながら一里半の道を歩いて帰った。とぼとぼ来て夕凪橋の上でとっぷり日が暮れ、小走りに行くと、電燈をつけた電車が物凄い音で追い駈けて来て、怖かった。