Classici giapponesi con furigana
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ひぼんなるぼんじん
非凡なる凡人
国木田 独歩
Leggi 非凡なる凡人 (ひぼんなるぼんじん) di 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8449 caratteri · 17 schermate
桂はうまそうに食い初めたが、僕は何となく汚らしい気がして食う気にならなかったのをむりに食い初めていると、思わず涙が逆上げてきた。桂正作は武士の子、今や彼が一家は非運の底にあれど、ようするに彼は紳士の子、それが下等社会といっしょに一膳めしに舌打ち鳴らすか、と思って涙ぐんだのではない。けっしてそうではない。いやいやながら箸を取って二口三口食うや、卒然、僕は思った、ああこの飯はこの有為なる、勤勉なる、独立自活してみずから教育しつつある少年が、労働して儲けえた金で、心ばかりの馳走をしてくれる好意だ、それを何ぞやまずそうに食らうとは! 桂はここで三度の食事をするではないか、これをいやいやながら食う自分は彼の竹馬の友といわりょうかと、そう思うと僕は思わず涙を呑んだのである。そして僕はきゅうに胸がすがすがして、桂とともにうまく食事をして、縄暖簾を出た。
その夜二人で薄い布団にいっしょに寝て、夜の更けるのも知らず、小さな豆ランプのおぼつかない光の下で、故郷のことやほかの友の上のことや、将来の望みを語りあったことは僕今でも思い起こすと、楽しい懐しいその夜の様が眼の先に浮かんでくる。