Classici giapponesi con furigana
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かばんらしくないかばん
鞄らしくない鞄
海野 十三
Leggi 鞄らしくない鞄 (かばんらしくないかばん) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.653 caratteri · 73 schermate
トランクをトラックに受取って走ったそのトラックの運転手でもないことは、彼が酒田と満足すべき取引をしたことを考えれば、すぐに分る。では、新宿の露店で、この鞄を店に並べて売っていた店員であろうか。いや、彼でもなさそうである。なぜならば三行広告代金と鞄の値段とは殆んど同じであるので、広告を出したとて大抵戻って来ないことが分っているのに広告をする筈がないと思われる。
すると、広告主はもっと以前から、このお化け鞄に関係していた人物に違いない。この十五坪住宅の主人が夜厠の窓から何気なく外を見たところ、トランクが月の光に照らされて、ひとりで道を歩いていたという東都怪異譚の始まり――あの頃更に以前の関係者に相違ない。
一体、誰と誰であろう。
一人は、田鍋課長の指摘したとおり、多分お化け鞄を博士から奪った兇賊であろうと思われる。しかしこのことも、博士が意識を恢復して、遭難談を詳しく述べてくれる日までお預けとしなければなるまい。今一人の人物については、全く五里霧中である。
が、この二人の正体を突き留めさえすれば、この事件の解決は一層早くなるものと、帆村は確信し、いま推理を懸命に働かせている最中なのであった。