Classici giapponesi con furigana
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すまでらふきん
須磨寺附近
山本 周五郎
Leggi 須磨寺附近 (すまでらふきん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.396 caratteri · 21 schermate
二階の正面の席が見えるように、東の桟敷に坐った清三はすぐ示された座席から康子の姿を探し出そうとした。康子の姿はすぐ見出せた、康子はちょうど劇眼鏡で舞台を窺っている姿勢だった。見ていると隣にいる中年の男が、康子の耳に顔を寄せて何か私言いている、康子は何か答えたらしく、男はちょっと歯を見せて顔を離した。清三は生唾液を呑みこみながら舞台を見た。そこでは冑武者が数人、百姓家を取囲みながら、何か口喧しく叫んでいた。清三はその場面に幕の下るまで、康子と同席の男の解釈に苦しんで過ごした。
燈火が一時にあかるくなって、座にいた人たちが一様にざわめきあった、清三は康子の姿を見逃すまいと立ったままそっちを睨んでいた、そして康子の立つ姿を見ると、すぐ自分も廊下へ出た、廊下の揉むような人のあいだを抜けながら二階へ下りて来るまでの気持は、形容できないくらいに焦せっていた、で、もう少しで見知らぬ男と連れ立って行く康子と行違ってしまうところだった、康子はすぐ慌てた清三の姿を見出したが、黙って行き過ぎた、そして男に何か云って待っている清三のところまで引返してきた。
「御苦労さま」