Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.621 caratteri · 25 schermate
……せいぜいうまく仕組んだから、三崎丸の金兵衛以下役人囚人もろとも二十三人、相模灘の沖で煙のように消えてしまったと立派にごまかしおえたと思っているのだろう。世間の眼はそれでくらまされようが、わたしはそんなことでは欺されない。二十三人ひとり残らず、みな生きていることを知っているんだ。……伏鐘一味におどかされ、船頭一同としてはもう逃れぬところと腹をきめて、三崎丸を明けわたし、自分たちは四月十九日に相模の海で死んだことにして、一生、身を隠して暮らすつもりだろうが、その了見はせますぎる。重いといっても多寡が遠島。今のうちに自分から名のって出りゃアお慈悲ということもあります。余計なことのようだが、これはわたしの親切。かりに身を隠すにしたところが、死ぬまで隠れおおせるというわけにはゆかない。いずれはお上の手にかかる。そんならば、いっそ今のうちに名のって出たほうが、まず身のため。お静さん、納得が行きましたか」
お静は、肩をふるわせてきいていたが、矢も楯もたまらなくなったように畳に両手をつき、
「いろいろと、ご親切、さまざまにご理解くださいましてありがとうございました。