Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.712 caratteri · 29 schermate

Aozora Bunko

「へえ、降っておりました」

「今朝、お前がおれのところへ来たとき、座敷には足跡らしいものもございませんでしたと言ったな……それは、いったいどうしたわけなんだ」

「どうしたわけ、とおっしゃると」

「その土砂降りに屋根から舞いこんだとすると、廊下や絨毯に濡れた足跡ぐらい残っていなけりゃならないはずだ。……それなのに、そんな気配もなかったというのは、どうしたことだと訊いているんだ」

「おッ」

「おッに、ちがいねえ。……それがすなわち、屋根からなんぞ這いこんだのではない証拠」

ひょろ松は、あっけらかんと顎十郎の顔を眺めていたが、大きな息をひとつつくと、感にたえたというような声で、

「こりゃ、どうも。そこには気がつかなかった。さすがは阿古十郎さん、……なるほど、そう言われてみりゃア、こりゃあ理屈だ」

髷節へ手をやりながら、うらめしそうな顔で、

「それにしても、あなたもおひとが悪い。そうならそうと、最初っから言ってくださりゃ、こんなところで炎天干になんぞならなくってすみましたものを」

顎十郎は、大口をあいて笑いながら、

「たまには虫干をするのもいいと思ってな」

「なんとでもおっしゃい。