Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.061 caratteri · 22 schermate

Aozora Bunko

又右衛門だけは、ゆるされて祈祷の座につらなるが、なるほど、いやちこなもので、法螺貝を吹き立て鈴を鳴らし、おどろに髪を振りみだしながら祈りあげると、不思議や、お小夜の夜具の裾から山棟蛇が這いだして、するすると覚念坊の法衣の袂にはいる。すると、そのあと、ふた刻ばかりは、眼に見えて落着いて、スヤスヤと寝息を立てるのである。

「……それにしても、湯水も満足に咽喉を通らなくなってから、これでもう、一週間。……手足は糸のように痩せ細って、つく息もせつなげな。……今日でやっと六匹だけ取り離したばかりなのに、あの弱り方では、しょせん、末々までは保ちあうまい。……命にもかえがたく思うたったひとりの娘がよしない蛇の呪いなどで、ムザムザ死んで行くかと思うと、わが胸は、今にも破り裂けんかと思うばかり。……こうしていながらも、生きた気もない」

ひょろ松は、苦々しそうな面持で、叔父の話を聞きすましていたが、やり切れないというふうに舌打ちして、

「これは、どうも驚きました。……むかし、手引き背負した、あっしにとっても、だいじな従妹。……いま生き死にの正念場で喘いでいるというのを、軽くあしらうわけじゃありませんが、この世に、蛇の呪いの、狐の祟りのと、そんな馬鹿げたことが現実にあるわけのもんじゃねえ。