Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.494 caratteri · 26 schermate
香聴き
有為転変の世の中。きのうまでは江戸一の捕物の名人。将軍の御前で捕物御前試合の勝名のりをうけたほどの身が、きょうは丸腰にされて揚屋の板敷の上。変ればかわる姿である。
さすがにうっそりの顎十郎も、多少の感慨があるらしい。秋風落莫と端坐している。もっとも、表面そう見えるだけで、肚の中ではなにを考えているのか知れたもんじゃない。
ものの半日あまり、枯木寒巌といったていで、半眼をとじながら黙々然々としていたが、お調べも間もない辰刻になると、とつぜんカッと眼を見ひらいて、
「〆たッ」
と、膝を打つ。ヘラヘラ笑いながら自堕落に身体を投げだし、ゴロリと板敷のうえに寝ころがると、いつものように肘枕をつき、
「ふふん、これで、どうやら眼鼻がついた」
と、つぶやいた。
いつもの顎十郎らしくもなく、たったこればかりのことで意気銷沈し、いやに神妙に首を垂れていると思ったら、あにはからんや、そうじゃなかった。顎十郎は、ウマウマとはめられた竹箆がえしの方法を今まで沈考していたのだった。
顎十郎は、揚屋格子のほうをうっそりと眺めながら、
「あの陽ざしの工合では、もう辰の刻。