Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.406 caratteri · 27 schermate
離家へあげると、お米は壁の紙張へ身をすりつけるようにしながら、あなたが死んだ姉をお愛しがられるごようすはあまり哀れでございます。あたくしは姉とおなじ腹から生れたのではございませんけど、やはり父の統。せめて死んだ姉の身代りと思ってあたくしを、ととぎれとぎれにいう。金三郎はおどろいて、お志は忝ないがそれはいけません。男ひとりいるところへおあげしたことさえ心苦しく思っているのに、恩も義理もあるそのひとの眼をかすめて、どうしてそのようなことが出来ましょうかと言うと、お米は、女の身としてこんな夜更にあなたおひとりいるところへ忍んで来たうえは、たとえなんのことはなくとももうもとの身体ではありません。どうぞ哀れと思って、と畳に喰いついてどうしても帰ると言わない。金三郎も、はじめはきついことを言っていましたが、とうとうお米の情にほだされて割ない仲になった。……お米はそれから夜の六ツごろになると忍んで来て夜があけるとそっと母家へ帰って行く。……そんなことがひと月もつづきましたが、金三郎はいかにも心苦しい、ある朝、といっても一週ほど前の話ですが、いつまでこんなことをしているのは相すまぬわけだから、いっそ和助どのに打ちあけてお詫びをし、晴れてゆるしを得たいものだというと、お米もどうぞそうしてくれという。