Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.468 caratteri · 25 schermate
油壺
雨があがって、薄雲のあいだで新月が光っている。
油蔵の庇あわいへかがみこんだ五人。
アコ長、とど助、ひょろ松、清五郎。それに御用医者の山崎椿庵。
アコ長はチラとあたりを見まわしてから、低い声で、
「どうだ、ひょろ松、甚松の死体をなんと見た」
「大熱が出たということや、手足の節々の腫れかたなどを見るに、傷寒か破傷風。……この前の四人を見ていませんからはっきりしたことも言えませんが、どうもそのへんのところかと思われます。……椿庵先生、あなたのお診断は?」
「いったんは、虎列剌かとも思いましたが、嘔吐たものは虎列剌とはまったくちがう。胸や背に赤斑こそありますが、虎列剌の特徴になっておる形容の枯槁もなければ痴呆面もしていない。それに、これが虎列剌なら阿波屋一軒ですむはずがない」
アコ長はせっかちに遮って、
「なるほど。……すると、ギリギリのところどういうことになるんです」
「手前の診断では、まず毒。……それも、なにかはなはだ珍奇な、たとえば、蘭毒のようなものでも盛られたのではないかと……。もちろん、これは手前の推察で確言いたすわけではないが」
顎十郎は、手のひらで長い顔をべろんと撫でおろし、