Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.674 caratteri · 36 schermate
あれが、お雪盗びと……」
「盗んだのか、盗まぬのか、それは、あたしどもには、きっぱりしたことは申されませんですが、ありようは……、と言っても、源右衛門さんの述懐ですが、自分が盗んだのではなく、だれか知らないがお氷の入った桐箱をあがり口へおいて行った者があると、そう言うんでございます」
「はて、……お氷の箱があがり口に……」
「……加賀さまへお雪をもらいに行き、貰いそこねてぼんやり帰ってくると、あがり口に見なれない桐箱がおいてあるので、なんだろうと思って蓋をはらって見ますと、それが、胸も焦げるほどに欲しいお氷……」
「ほほう」
「……と申しますのは、ご承知のように、伜がずっとひどい大熱で、囈言のあいだにも、雪をくれ、雪をくれとせがみます。……親の身としては、息のあるうちにせめてひと口なりとすすらせてやりたい。間もなくお雪があがるということで、丼をひっつかんで駈けつけたが、ちょっと遅かったばっかりに貰いそこね、ガッカリと気落して、魂がぬけたようにトボトボと帰って来た、……その鼻さきへ桐箱に入ったお氷。……当座は、夢を見てるんだと思ったそうです。……あまり欲しい欲しいが凝りかたまって、現にこんなものを見るのだと思った……」