Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.819 caratteri · 26 schermate

Aozora Bunko

けさからずっとあぶれでケチがついたから、これから家へ帰って寝ッちまおうと思っていたところなんです」

「そんならば、お気の毒ですね」

「えッ、気の毒とは、なんのことです」

「だいぶ、遠ございますから」

「遠いたって、まさか越後までいらっしゃるというんじゃねえでしょう。いったい、行先はどちらです」

「牛込矢来の少しさき」

「すると、酒井さまのお屋敷のへんですか」

「いいえ、その前を通って、もう少し行きます」

「おう、そりゃア大変だ。すると、護国寺のへんですか」

「そこを通って、もう少し……」

アコ長、へこたれて、

「そう小刻みにしないで、はっきり言ってくださいよ。いったい、どこなんです」

「実は豊島ガ岡までまいりたいのです」

「豊島ガ岡っていうと、あのへんは墓や森ばかりで人家などないところ。それに、これから行くと、どっちみち夜中になってしまうが、あんなところに、どんな用がおあんなさるンです」

「お駄賃は、ウンとはずみますけど」

「駄賃のほうは、きまりだけいただけば結構ですが、……どうもねえ、あんな森ばかりあるところへ……」

「お嫌でしょうか」

「へッへ、お召しくださるのはかたじけないのですが、どうも、行きつけないところなもンですから。