Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.327 caratteri · 43 schermate
たまの外出のときもやかましい検査があって、ようやくゆるされる。金座の人間ばかりではなく、出入りの商人などもいちいち鑑札で門を通り、それも厳重にしきった長屋門口からおくへ立入ることは絶対にできなかった。……ここだけは別世界、江戸の市中にありながら、とんと離れ小島のようなあんばい。
ちょうど、七ツ下り。
むりやりひょろ松に揺りおこされて曳きずられて来られたものと見え、いつものトホンとしたやつに余醺の霞がかかり、しごく曖昧な顔で金座の門の前に突っ立って、顎十郎先生、なにを言うかと思ったら、
「ほう、……だいぶと、凧があがっているの」
冬晴れのまっさおに澄みわたった空いちめんに、まるで模様のように浮いている凧、凧。
五角、扇形、軍配、与勘平、印絆纒、盃、蝙蝠、蛸、鳶、烏賊、奴、福助、瓢箪、切抜き……。
十一月のはじめから二月の末までは江戸の凧あげ季節で、大供まで子供にまじって凧合戦をする。
雁木といって、錨形に刳った木片に刃物をとりつけ、これをむこうの糸にからませ、引っきって凧をぶんどる。
この凧合戦のために、屋敷や町家の屋根瓦がむやみにこわされる。毎年、凧の屋根なおしに数十両、数百両もかかる。