Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.028 caratteri · 30 schermate
俺にしちゃ大事な瀬戸ぎわ、汚ねえの候なんぞと言っちゃいられねえ。厭なら俺ひとりでやるから、お前はもう帰ってくれ」
千太は手で泳ぎだして、
「じょ、じょ、じょうだんじゃねえ。ここで追っぱらわれたんじゃ、今までの苦心も水の泡、あっしの立つ瀬がねえ。あの顎化けを見かえしてやると言うなア、あっしにしたって長いあいだの念願。いままでやらしておいて、帰れはねえでしょう。旦那、そりゃあ殺生ですよ。なるほど愚痴は言いましたろう、が、いわばそいつは合の手。ちっとぐらいぼやいたって、なにもそうむきになって、お怒りなさらなくとも」
藤波はせせら笑って、
「泣くな泣くな、乞食の餓鬼が貴様のつらを見て笑ってる。そういう気なら、無理に帰れたあ言わねえ。もうわずか、あと三十人ばかり、ひとつ精を出してやっつけようじゃないか」
「へえ、ようござんす」
千太はいまいましそうに舌打ちをしながら、乞食の子のほうへ寄って行き、似顔絵とてらしあわせながら、ためつすがめつまた首実験をはじめる。藤波のほうも、高見になったところに棒立ちになって、これも油断なく、非人の子のそぶりを凄い目つきで睨めつけている。