Classici giapponesi con furigana
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かお
顔
宮本 百合子
Leggi 顔 (かお) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.099 caratteri · 23 schermate
フランツは、時計を捧げて一二間歩いた。が、ちょっとうっかりした機勢(はずみ)に何かに蹴つまずいた。はっと思う間に、大事な時計は彼の両手の間からすっ飛んで、いやというほど彼方の箱にぶつかってしまった。
フランツはぎょっとして首をちぢめ、立竦んだ。ハンスは怒鳴りながら飛んで来た。そしてぐっとフランツの肩を掴んだ。がフランツが、あやまろうとして父親の顔を見上げると、彼は何故か、黙ってそろそろ手先の力をゆるめた。やがてすっかり肩から手をはずした。そして、却ってフランツを恐れさせた静かな口調で一言、
「もうよい、彼方へ行け」と云った。
フランツはその時、どんなに父親に怒って貰いたかっただろう。彼はしんから父に気の毒に思ったので、出来るなら頬の一つも打って欲しかった。勿論泣くだろう。けれども、父親が、彼にさえ感じられた努力で癇癪を抑えるのを見るよりは、ずっと後がからりとしたに違いないのだ。けれども、父は、他処の父親が息子を怒りつけるようには怒らなかった。それがフランツに、寂しさを与えた。
母親についても、彼の感じは同じであった。他の村人や学校の教師についてさえも。