Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かぜのたより

風の便り

太宰 治

Leggi 風の便り (かぜのたより) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.044 caratteri · 66 schermate

Aozora Bunko

女中は聞かれた事だけを、はっきり一言で答えて、他には何も言いません。ぶあいそな女中でした。私は退屈しました。ちっとも話題が無くなりました。私は重くるしくなりました。二本目のお銚子にとりかかった時、どういう風の吹き廻しか、ふいと坂田藤十郎の事が思い浮んだのです。芸に行きづまり一夜いつわりの恋をしかけて、やっとインスピレエションを得た。わるい事だが、芸のためには、やむを得まい。私も実行しよう。すぐに屹っと眉を挙げて、女中さん、と声の調子を変えて呼びかけました。君を好きなんだ、とか何とか自分でも呆れるくらい下手な事を言って、そっと女中の手を握ろうとしたら、ひどい事になりました。女中は、「何しるでえ!」と大声で叫んで立ち上り、けもののような醜いまずい表情をして私を睨み、「あてにならねえ。非常時だに。」と言いました。私は肝のつぶれるほどに驚倒し、それから、不愉快になりました。「自惚れちゃいけない。誰が君なんかに本気で恋をするものか。」と私も、がらりと態度を改めて言ってやりました。「ためしてみたのだ。むかし坂田藤十郎という偉い役者がいてね、」と説明しかけたら、また大きな声で、「いい加減言うじゃあ。