Classici giapponesi con furigana
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ふうりゅうばけものやしき
風流化物屋敷
山本 周五郎
Leggi 風流化物屋敷 (ふうりゅうばけものやしき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.228 caratteri · 40 schermate
「へえ、――でその、その江戸のお相手と、お指しなさるんで」「その相手と指すのさ」「へえ――」権八はごくっと唾をのんだ、「それでその、どうやってその」「どうやるものか、将棋は向うが一手指せばこっちが一手指すと定ったものだ、相手は笹野久太夫といって江戸屋敷ではなかなか強い、これはおれが先手で始めたんだが、笹野にこの五五歩を突かれて取るかどうかに迷っているところだ」「えへへへへ」権八はあたりを見まわしながら少しずつ後ろへ退りだした、「で、――その、さ、さ、笹野さまは、そのどっちにお坐りになって」「ばかだな、おれがこっちにいれば笹野はそっちに定ってるじゃないか、それそこだ」「わわ――」てえと権八は横っ跳びにどこかへすっ飛んでしまった。脅かしでもなんでもない、江戸を立つとき指掛けになったのを、これから一手ずつ飛脚便で指し継ごうという約束をして来た、笹野と彼の将棋は長考で名が高い、一番に二十三日という記録がある、これが一手ずつ手紙に書いて、広島と江戸を飛脚の往復で指そうというのだから、なん年かかるか、幾ら昌平の世でも桁外れである。後で事情を聞いたから安心したようなものの、権八はてっきり旦那が幽霊と指すもんだと信じたのだそうだ。