Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ふうちそう

風知草

宮本 百合子

Leggi 風知草 (ふうちそう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 44.107 caratteri · 88 schermate

Aozora Bunko

「けさはよっぽどおくれて?」

「一時間ばかりおくれた」

青年のいる室へ入って、重吉は、簡単に挨拶すると、そこに来ている雑誌の封をあけて目をとおしはじめた。

「お着かえにならないの」

「…………」

重吉は、洋服のまま、どうしたのか、ひるの弁当があまっていたのを鞄から出して、先ずそれをたべはじめた。

「どうして?――こっち上ればいいのに」

「いいんだ」

つとめて、ひろ子は若い又従弟と口をきいて食事をすませた。重吉は、すぐ、

「あがるよ」

鞄をもって、二階へ登って行った。とりのこされたひろ子は体じゅうがよじれるように苦しくなった。

行ってみると、重吉はぬいだシャツや服を机の上につみ上げて、そのよこのところに本をのせて見ていた。ひろ子は、みんなどけてそれを衣紋竿につるした。

「――ね、どうなすったの?」

「どうもしない」

「いいえ。こんなのあたりまえじゃないわ……いつものようじゃないわ。ね、どうして?」

重吉は椅子の上で顔を横に向け、ひろ子を見ないようにしている姿勢のまま、

「どうもしない。きょうから、何でもみんな自分ですることにきめたんだ」

と云った。

「…………」

「すっかり、考え直したんだ。