Classici giapponesi con furigana
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ふうちそう
風知草
宮本 百合子
Leggi 風知草 (ふうちそう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 44.107 caratteri · 88 schermate
「ひろ子、覚えているかい? 俺が、文学報国会なんてものは脱退しろ、とあんなに云ったとき、何てがんばったか。――あなたには外の様子が分らないからって、がんばったんだぜ」
そのときのいやさが忘られないように、重吉はひろ子の口真似をして云った。
「そうなのよ。だから、わたし、この封筒もお目にかける気になったの」
「わからないことがあるもんか――ちゃんとわかっていたじゃないか。――会費を送るのはやめたかい?」
「やめたわ。それは大抵の人がやめたでしょう」
もと文芸家協会として組織されていたものが、団体ぐるみ文学報国会というものになって、会員の一人だったひろ子も自然そこにひっくるめられていた。
またしばらく黙っていたのち、重吉がいかにも笑止千万という顔つきで、
「この小説、もしもさきでことわって来なかったら、ひろ子はのせていいと思ったのかい」
「のせたい、と思ったのじゃあないのよ。のせた方がいいだろう、そう思ったのね。あの時分……」
そのことが話したくて、ひろ子は、その封筒も重吉の前に持ち出したのであった。戦争が進み、情報局がすべての文化統制を行って、文学者やその作品をすっかり軍用に統一しはじめた頃、ひろ子たち一群の作家は、不安な状況に陥った。