Classici giapponesi con furigana
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ひこうきにのるあやしいしんし
飛行機に乗る怪しい紳士
田中 貢太郎
Leggi 飛行機に乗る怪しい紳士 (ひこうきにのるあやしいしんし) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 1409 caratteri · 3 schermate
T機関士の云ったように、たしかに後の客席に痩せぎすな一人の紳士がいるのであった。その日たしかに乗客のないことを知っていたA操縦士はぞっとした。A操縦士は頭がぐらぐらとした。
しばらくたってからA操縦士はやっと心をおちつけた。そして、T機関士に手真似で、
「往ってみよ」
と云うようにした。T機関士はうす鬼魅が悪かったが、それでも勇気を出して客室の方へ進んで往った。客室はがらんとしていた。
(へんだぞ)
T機関士はドアの後から椅子の下をきょろきょろと見まわしたが、今までいたはずの客の姿はどこにも見えなかった。
やがて蒼白い顔をして座席へ帰って来たT機関士は、夢中で三本の気弁桿を握った。三個の発動機は狂気のような大きなうなりを立て、回転計の指針は最大の速度を示していた。
T機関士は無言のままその指針を見つめていた。その時機体が生のあるもののようにぐらぐらと揺れた。
この話は次の二題とともに、平野嶺夫君の「航空日本」による話である。