Classici giapponesi con furigana
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きがちたいをあるく
飢餓地帯を歩く
下村 千秋
Leggi 飢餓地帯を歩く (きがちたいをあるく) di 下村 千秋 (しもむらちあき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.478 caratteri · 31 schermate
それが十二月二十九日の朝である。
私は歩きながら青年と話した。
「この地方は南部馬の名産地である筈だが、今年の値はどうでした?」
「てんで問題になりませんでした」と、青年は投げ棄てるように答えた。「二歳子の一等いい馬が、たまに百五十円ぐらいに売れたが、これでも、飼いば料を引いたら儲かる所はありやせん。あとは大てい一頭五十円ぐらいで、ひどえのは、たった三十円ぐらいですから、みんな、一頭について百円あまり損をしたです」
「養蚕はどうです」
「やっぱり問題になりやせん。一貫目一円だの一円二十銭だのでは、桑代の三分の一にもなりやせんから」
「それじゃ、外に金を取る方法がありませんか」
「この辺では、なんにもありません。山地じゃありませんから、炭焼きも出来ないし、海には遠いですから漁は出来ないし、だから、金と言ったら米を売るしかないですが、その米が三分作以下ですから、売るどころか、もうそろそろ喰いつくしてしまったのです。仕方がないので、どこの家でも、じゃが芋を餅にして喰っていますが、それもあと一ト月もしたら無くなってしまいます。それで金はないし、外米も買えないとなれば、その時はどうなることか。