Classici giapponesi con furigana
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こうでん
香奠
豊島 与志雄
Leggi 香奠 (こうでん) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.989 caratteri · 46 schermate
国亡びて山河ありという言葉は、新らしい別な意味で、地方出の東京人の胸にぴたりときます。
話がわきにそれましたが、平田伍三郎がやって来た時私は、前申したような地方出の東京人の一人だったのです。その上私は大変貧乏でした。月々の月給で漸く生活してるきりで、家計の余裕なんか更になく、家も家族だけで一杯だし、夜具の余分も来客用の一組しかなく、友人の出入も可なりあるし、どの点から考えましても、たとい下宿料を貰っても、平田伍三郎を家に置くことは出来なかったのです。それに、特別の縁故でもあれば兎に角、彼と私とは九州の田舎の隣村に生れ合したというだけで、全くの他人じゃありませんか。
で私は、折角彼に好感を持ち初めたのに、変にそぐわない気持になって、苦笑を洩しながら云いました。
「随分無鉄砲だな、そんな相談はちっともなしに、いきなり僕のところへ飛び込んでくるなんて……。この通り、家じゃとても駄目ですよ。」
「それじゃあ、下宿屋でも探さにゃなりませんかしらん。」
「まあそれより外に……。だが、毎月五十円ずつ来るというのは確かでしょうね。」
「ええ確かです。もう千円ばかりアメリカから送って来とる筈ですから。