Classici giapponesi con furigana
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こうでん
香奠
豊島 与志雄
Leggi 香奠 (こうでん) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.989 caratteri · 46 schermate
殊に荷物を持ってる時はそうです。
所で平田伍三郎は、九州から東京まで汽車に乗り続けて、朝の八時半頃東京駅へつき、それから重いバスケットをさげて寒い風の吹く中を、道をきききき歩いてきて、十時頃私の家へ辿りついたのです。そして私の不在中、昼飯の時に何度も茶碗を差出しながら、彼はこう云ったそうです。
「朝飯を食べなかったもんですから、腹が空ききっとりますので……。」
「まあー。」と妻は喫驚しました。「じゃあそう仰言ればよかったんですのに。」
「云ってよいかどうか考えとるうちに、午になってしまいましたんです。」
そういう風に、至極善良な親しみを彼は私共に齎しました。風呂にはいり夕飯を済ましてから、その晩私と妻とは彼を相手に、遅くまで話し合ったり笑ったりして、初めて彼の事情をよく知りました。
彼は前年の春中学校を卒業して、将来の方針を立てるのに愚図ついてるうち、上の学校への入学期も過してしまった。そして兎も角農業をやってると、アメリカへ行ってる父と兄とから連名の手紙が、伯父宛に届いたのだった。内地で仕事をするにしてもまたはアメリカへ来るにしても、学問をしていなければ立身出世は出来ないと思うから、伍三郎には充分学問をさせてやってくれ、学費は入用なだけ送るから、とそういう文面だった。