Classici giapponesi con furigana
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こうげんのたいよう
高原の太陽
岡本 かの子
Leggi 高原の太陽 (こうげんのたいよう) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8558 caratteri · 17 schermate
闇の中から生れ出る青年の姿は、美しかった。薩摩絣の着物に対の羽織を着て、襦袢の襟が芝居の子役のように薄鼠色の羽二重だった。鋭く敏感を示す高い鼻以外は、女らしい眼鼻立ちで、もしこれに媚を持たせたら、かの女の好みには寧ろ堪えられないものになるであろうと思われた。併し、青年の表情は案外率直で非生物的だった。
青年のほのかな桜色の顔の色をかの女は羨んだ。かの女は鬱気の性質から、顔の色はやや蒼白かった。しかし、肉附きも骨格も好くて、内部に力が籠っている未完成らしい娘だった。
「年頃のお嬢様のような『気』もなくって……」と老婢は時々意味有気に云った。
同じく都会に育って、灰汁抜けし過ぎた性質から、夫からも家からもあっさり振り捨てられて、他人の家で令嬢附の侍女を勤めて、平気な顔をしている老女中は、青年と上べの調子はよく合った。少くとも自分からは、ばあやは青年と気が合っていると思い込んでいた。
「お嬢さま、この牡蠣のフライと山葵漬はおあがりになりませんね。では、これを重光さんのお肴にとっといて、またビールでも差上げましょう。なにそう云ったって構やしません。あの方はさくくていらっしゃるから」