Classici giapponesi con furigana
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げかしつ
高野聖
泉 鏡花
Leggi 高野聖 (げかしつ) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.264 caratteri · 104 schermate
「お香、こうは謂うもののな、おれはおまえが憎かあない、死んだ母親にそっくりでかわいくってならないのだ。憎いやつなら何もおれが仕返しをする価値はないのよ。だからな、食うことも衣ることも、なんでもおまえの好きなとおり、おりゃ衣ないでもおまえには衣せる。わがままいっぱいさしてやるが、ただあればかりはどんなにしても許さんのだからそう思え。おれももう取る年だし、死んだあとでと思うであろうが、そううまくはさせやあしない、おれが死ぬときはきさまもいっしょだ」
恐ろしき声をもて老人が語れるその最後の言を聞くと斉しく、お香はもはや忍びかねけん、力を極めて老人が押えたる肩を振り放し、ばたばたと駈け出だして、あわやと見る間に堀端の土手へひたりと飛び乗りたり。コハ身を投ぐる! と老人は狼狽えて、引き戻さんと飛び行きしが、酔眼に足場をあやまり、身を横ざまに霜を辷りて、水にざんぶと落ち込みたり。
このとき疾く救護のために一躍して馳せ来たれる、八田巡査を見るよりも、
「義さん」と呼吸せわしく、お香は一声呼び懸けて、巡査の胸に額を埋めわれをも人をも忘れしごとく、ひしとばかりに縋り着きぬ。