Classici giapponesi con furigana
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げかしつ
高野聖
泉 鏡花
Leggi 高野聖 (げかしつ) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.264 caratteri · 104 schermate
「道ならないことだ。そんな真似をした日には、二度と再び世の中に顔向けができない。ああ、恐ろしいことだ、……けれども才覚ができなければ、死ぬよりほかはない。この世に生きていないつもりなら、羞汚も顔向けもありはしない。大それたことだけれども、金は盗ろう。盗ってそうして死のう死のう!」
かく思い定めたれども、渠の良心はけっしてこれを可さざりき。渠の心は激動して、渠の身は波に盪るる小舟のごとく、安んじかねて行きつ、還りつ、塀ぎわに低徊せり。ややありて渠は鉢前近く忍び寄りぬ。されどもあえて曲事を行なわんとはせざりしなり。渠は再び沈吟せり。
良心に逐われて恐惶せる盗人は、発覚を予防すべき用意に遑あらざりき。渠が塀ぎわに徘徊せしとき、手水口を啓きて、家内の一個は早くすでに白糸の姿を認めしに、渠は鈍くも知らざりけり。
鉢前の雨戸は不意に啓きて、人は面を露わせり。白糸あなやと飛び退る遑もなく、
「偸児!」と男の声は号びぬ。
白糸の耳には百雷の一時に落ちたるごとく轟けり。精神錯乱したるその瞬息に、懐なりし出刃は渠の右手に閃きて、縁に立てる男の胸をば、柄も透れと貫きたり。