Classici giapponesi con furigana
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かみきりむし
髪切虫
夢野 久作
Leggi 髪切虫 (かみきりむし) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4355 caratteri · 9 schermate
ただ残念なことに、自分が果して二千年前の埃及女王クレオパトラの生れ変りなのか。それとも女王様の寝棺の中に秘め置かれた髪切虫か、河馬にも喰われず、太陽神にも叱られずに二千年後の今日、輪廻転生の道理に恵まれて、呼吸を吹返して来たものか、その辺のところがサッパリ判明しなかったが、やがて間もなく、そんな事はどうでもいい事に気が付いたので、髪切虫は一層、朗かになった。
「そうだ。妾はこれから恋を探さなければならない。そうして卵を沢山に生んで、可愛い子供をウジャウジャ撒き散らして、世界中の女の髪毛をみんな朗かに啖べさせて、一人残らずクルクル坊主にしてしまわなければならないのだわ」
けれども彼女は恋というものがドンナものか知らなかった。……一体恋なんていうものはドンナ処に、ドンナ風にして在るものだろう……と思って、ソロソロと桐の葉の上に匐い上りながらそこいらを見まわした。
桐畠の周囲の木立は、大きくまばたく夕星の下に、青々と暮れ悩んでいた。その重なり合った枝と、葉と、幹の向うに白々と国道が横たわっていて、その向うのポプラの樹が行儀よく立並んだ間から、何だかわからない非常に美しいものが光って見えた。