Classici giapponesi con furigana
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まぞう
魔像
林 不忘
Leggi 魔像 (まぞう) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 131.494 caratteri · 260 schermate
何か、かみの毛に引っかかっている。釣針らしいのだ。糸の先につり針がついて、そいつがどこからか伸びて来て、右近の結髪に掛り、グウッと上へ持ち上げようとしている……まさに何者かが、喧嘩師茨右近先生を釣り上げようという魂胆!
そばのお絃は、それこそ何も「知らず」に眠っていた。
ハッキリ眼がさめると同時に、悪戯か、害心か、この夜ふけに、そも何やつのしわざ? と、ぷッ! 一時に怒りを発した茨右近だ。頭上にかざした手へ釣糸を捲き手繰って、パアッ! 起ち上った。
「誰だッ! 出て来いッ!」
叫ぶ。その声で眼をさましたお絃が、
「火事かい……あら厭だ。何をお前さん、ひとりで威張っているの」
迂路うろそこらを見廻したが、
「あ! 何だい、あれは――?」
指さした。そこに、闇黒の奥からノソリ、ノソリと近づいて来ている一人の人物。
夜光を背にしてよくは見えないが、つんつるてんの紺飛白に白い兵児帯を太く巻いて、後世の英傑西郷先生の元祖みたいな風体だ。髪は、戦国風の太茶筌。釣竿を差し伸べて片手に魚籠を提げている。実もって異形な大男なので。
「げッ! 何だ手前はッ!」
頭の釣針を取ろうとするが、すっかり髪に絡みこんでいて容易に取れない。