Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
まぞう
魔像
林 不忘
Leggi 魔像 (まぞう) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 131.494 caratteri · 260 schermate
近江の首を取って以来、こうして公儀の眼を逃れて潜行しているのも、大体はさっき壁辰に話した通り、大迫玄蕃以下十六人の首を狙うためではあるが、一つには、あの園絵という女があるばっかりに、自分はいま、死んでも死ねない気がするのだ。去年の暮れに一緒になって、築土八幡に家を持ってやれよかったと思う間もなく、ついに自分が我慢し切れずに、あんな出来事が起ったのである。あれからこうして所在をくらましているあいだも、寝る間も忘れたことのない園絵のおもかげ――それほどの園絵というものが自分にあるのに、それを知らずに、この娘が自分を恋しているとすれば――そして、そのために自分が、壁辰の十手と、近処の注意から救われて、あやういところを助けられたとすれば――とりも直さず、この娘はじぶんの恩人である。が、園絵という妻があってみれば、恩人とは言え、その恋を受けるわけにはいかないのである。これは飛んだことになってしまった。一難去ってまた一難――喬之助は、そんな気がした。
「まことにかたじけのうござる。御恩は生々世々忘れ申さぬ」
こう固っ苦しい礼を、気が抜けたようになって台所の板の間にすわっているお妙に述べたのち、喬之助は、手早く衣服の乱れを直して、壁辰につづいて茶の間へ帰った。