Classici giapponesi con furigana
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まぞう
魔像
林 不忘
Leggi 魔像 (まぞう) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 131.494 caratteri · 260 schermate
よし! やろう! 拙者もこれで、一生の喧嘩が決まって、こんなに安心いたしたことはない。お絃、喜べ。もう喧嘩の食いはずれはねえぞ」
「しッ! 何だい。野中の一軒家じゃあるまいし、神尾神尾って大きな声で、黒門町さんなんか、はらはらしてるじゃないか」
「お侍さん同士は、解りが早えや。先生、喧嘩の先生、黒門町は、この通りお礼を申しやす」
「いや、その黒門町よりも、かく申す神尾喬之助、あらためて御助力をお願い申す」
「まママ、お手を、お手をお上げなすって――やい、お絃。酒買って来い!」
「あい来た。いま駈け出すところだよ」
五
こうして、黒門町があいだに立って、喧嘩渡世の茨右近方へ、食客としてころがり込んだ神尾喬之助であった。
同じ家に、同じ男がふたり居るようなもので、ことに、世間の眼をくらますために、神尾喬之助は、髪から服装の細部まで、右近と全く同じに拵っているのだから、二人いっしょにいるところを見られない限り、近所の人も怪しまずにいるのだ。茨右近が出て行ったかと思うと、その茨右近が家の中にいる。おや、何時の間に帰ったのだろう――と思うくらいのところで、根が変り者の変った世帯だから、誰も気にとめない。