Classici giapponesi con furigana
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すし
鮨
岡本 かの子
Leggi 鮨 (すし) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.272 caratteri · 26 schermate
子供は烏賊鮨を喰べていたその冒険のさなか、詰めていた息のようなものを、はっ、として顔の力みを解いた。うまかったことは、笑い顔でしか現わさなかった。
母親は、こんどは、飯の上に、白い透きとおる切片をつけて出した。子供は、それを取って口へ持って行くときに、脅かされるにおいに掠められたが、鼻を詰らせて、思い切って口の中へ入れた。
白く透き通る切片は、咀嚼のために、上品なうま味に衝きくずされ、程よい滋味の圧感に混って、子供の細い咽喉へ通って行った。
「今のは、たしかに、ほんとうの魚に違いない。自分は、魚が喰べられたのだ――」
そう気づくと、子供は、はじめて、生きているものを噛み殺したような征服と新鮮を感じ、あたりを広く見廻したい歓びを感じた。むずむずする両方の脇腹を、同じような歓びで、じっとしていられない手の指で掴み掻いた。
「ひ ひ ひ ひ ひ」
無暗に疳高に子供は笑った。母親は、勝利は自分のものだと見てとると、指についた飯粒を、ひとつひとつ払い落したりしてから、わざと落ちついて蠅帳のなかを子供に見せぬよう覗いて云った。
「さあ、こんどは、何にしようかね……はてね……まだあるかしらん……」