Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate

Aozora Bunko

その剰銭で、どこかで冷酒の盗み飲みをした宅助は、やっと虫が納まって、ふらつくのを、無理に口を結んで帰ってきたが、周馬や一角や孫兵衛は、まだ湯どうふ屋の見晴らしに、悠々と落ちつきこんでいる様子なので、そのまま、境内の近くをぶらぶら歩いていた。

「おれなんざ、あそこにとぐろを巻いている三人侍にくらべりゃ、まったく、可愛らしい人間だぜ……」

ぽっと、どす赤くなってくる顔を撫でながら、宅助、自分で自分をいたわった。そして、

「いい日和だなア……」

とにわかに、あたりの参詣人の空気につつまれて、鳥居のわきの舞台にもたれかかると、すぐその側で、若い娘だの老人だの子供だのが、しきりに、顔を集めて興がっている。

「あら、道頓堀の伯母さんの家が見える」

「どれ、こっちへ、貸してごらんよ」

「もう少し……」

「そんなにいつまで、独りで見ているって法はないよ。さ、お貸し、お貸し」

「いやだ、この人は。今、野中の観音様を探していたのに」

「ほんとだ……まあずいぶん遠くまでよく見えること。梅ヶ辻のほうだの……それから桃谷の大師巡りの人が、ぞろぞろと歩いてゆく」

「どれ、母ちゃん」

「どれ、どれ。