Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate

Aozora Bunko

「ハイ、私でござんすか」

一方の引き合わせも待たず、お米はむしゃくしゃまぎれに突っかけて、

「川長のお米というあばずれ女、エエ、法月さんとは、ずっと前からのお知り合いでネ」

「あら、お米さんといえば?」

「そのお米がどうかしましたかえ」

と、ツンとした。

「もうずいぶん前のことだが、関の明神の森で、首を縊ろうとしているところを、私が救ってあげたことがある。だけれど、そのお米とかいう娘は、まだ初心らしい優しさがあったから、お前さんたあ人違いかも知れないねエ」

「あ……それじゃ」と、お米も初めて、自分のうろおぼえをはっきりさせた。

「私が叔父の家をぬけだして、関の森で死のうとしていたところを、抱きとめてくれたあの時の人は?」

「たしか、見返りお綱とかいう、おせっかいな江戸の女だったと思いますがね」

「まあ」

といったが、お米の気持がすなおでなかった。

「お蔭様で、生きのびましたと、お礼をいいたいところですけれど」

「どういたしまして。恩着せがましくいったなどと、悪く気を廻されちゃ困っちまう」

「助けられて不足をいうんじゃあないけれど、あの時死んでしまわなかったお蔭に、まだ罪業がつきないで、こんな姿をうろつかせておりますよ」