Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate
「だって、じれッてえからな。あ……お吉」
「水ですか……水ですか」
「ううん、水じゃあねえ。……弦之丞様はどうしたろうな」
「ひとりでご苦心していらっしゃいますよ」
「四国屋のほうはダメになったのか」
「そんな話でございますけれど……」少し落ちついた模様を見て、お吉は梯子の上から顔を覗かせた。
そして、去りがてに、ためらっているお綱のほうへ、目まぜで早く立つようにいった。お綱も、目まぜで別れを告げる。
それをしおに、目に涙を溜めながら、編笠を抱えて格子の外へ走りだした。
後では、また万吉が何かわめいているらしかった。弦之丞は暗然として、外から、中二階の窓を仰いでいる。
その窓に、お吉のやつれた顔が見えた。
ご機嫌よう……と目にいわせて。
ふたりは夕明りの中に姿を揃えて、その目へ、その二階へ、心からの哀別を告げて早足に立ち去った。
東堀はドップリと暮れていた。
赤い灯影が映る隙間もないほど、川には艀舟がこみ合っている。四国屋の五ツ戸前の蔵からは、まだドンドンと艀舟へ荷が吐かれている盛りだった。
水脚を入れた艀舟は、入れかわり立ちかわり、大川へ指し下り、天神の築地へ繋っている親船へ胴の間をよせてゆく。