Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate

Aozora Bunko

ジッと、境内を見廻していたが、やがて、大股に本堂へ向ってきた。と、思うと、またふと足を止めて、参差とした杉木立の奥をすかすように見た。

鈴が鳴っている。

かすかだが、耳にふれた。夜籠りの詠歌の鈴の音。

それを便りに、木立の蔭へまぎれ込もうとすると、いきなり、

「大勘ッ」

と、おどりかかって行った釘抜きの眼八が十手で、力まかせに肘を撲りつけてから、

「御用だッ」

と烈声をあげた。

「あッ」と、よろめきながら大勘。

「しまった!」

という様子で、脱兎のように後へ駆け戻ったが、もう、むらがる人数が足もとを待ちかまえて、

「御用ッ」と、飛縄の風!

「御用だ!」と十手の雨。

月光を衝いてわめきかかってきた。

わらわらと八方を塞いで、入れ代り立ち代り、からんでは離れ、組んでは解かれる。

「退いた」

と眼八、海部側の者に見よがしとばかり、群れをわけて正面から飛びかかる。

大勘は道中差を抜いて、かれの真っ向を待ちかまえた。だが、眼八の十手が、風を切って入るのと同時に、飛んできた捕縄が、拝み打ちに下ろしたかれの手元をさらって、ガラリと刃物を巻き落してしまった。

黒い人間の声が、山になって、ひとりの上へ揉みあった。