Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate
だけれど、今の身の上を聞かれたり聞いたりするのもうるさいから……」
「川長のお宅へはすぐに帰らないというし、知り人に会えば姿を隠す――そんな窮屈な大阪へ、一体なんのためにはるばると帰ってきたんだか、ばかばかしくって、この宅助にゃ、あなたの気心が知れませんぜ」
「ご苦労様でもばかばかしくても、私にとれば、この大阪が、無性に恋しくって恋しくって、夢にみる程なんだから、しかたがないじゃないか」
「へえ、生れた土地というものは、そんなにいいもんでございますかね。わっしは能登の小出ヶ崎で生れて十の時に、越後の三条にある包丁鍛冶へ、ふいご吹きの小僧にやられ、十四でそこを飛びだしてから、碓氷峠の荷物かつぎやら、宿屋の風呂焚き、いかさま博奕の立番までやって、トドのつまりが阿波くんだりまで食いつめて、真鍮鐺に梵天帯が、性に合っているとみえて、今じゃすっかりおとなしくなっているつもりですが、それでもまだ生れた土地へ帰ってみてえなんてことは、夢にも思ったこたあありませんがね」
「そりゃ、お前が情なしか、それとも、お前をつなぐ人情というものが、その土地にないからさ」
「おや、その論法でゆきますと、それほどこの大阪にゃ、あなたを迷わす人情があるという理窟になりますぜ」