Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate
「知れている!」
「ア、あれッ――」
「おッと、お姫様、手を折りますぜ、今になって逃げようたッて、遅蒔だ」
「おのれ、無体なことをしやると……ちッ……離して! 離してッ」
「何も無体はしやしねえ。弦之丞には逢わせかねるが、江戸表以来何人よりは一番そなたに執心だった、人情深い男に逢わせてやろうと思って、この間から、しきりに心を砕いていたんだ」
「……シ、知らぬッ、離せ」
お千絵が帯をさぐるのを、男は冷笑して見ていた。唯一の守り刀は、腕をつかみ取られた途端に、道のむこうへ捨てられていた。
鷲の爪にかかった小鳥の弱さを知ると、お千絵は、今さら屋敷の者に無断で、この真夜中に見知らぬ人間についてきた自分のあさはかが悔いられて、泣くにも泣けぬ心地がした。
「この先はもう岡崎の田圃だ。人通りといえば南禅寺の坊さんか、家といえばかまぼこ小屋があるばかり。救いを呼んだところでムダだからよしたがいい。それよりは、何のために、俺がお前を手招きしたか、そのほうがもっと知りたくはないか。エ、お千絵殿」
「……頼みじゃ、後生じゃ、どうぞ、私をここで帰して下さいませ」
「勝手なことをいうもんじゃない。